認知症の方の接し方

2018年9月4日火曜日

自分のこと

t f B! P L
僕の仕事は新聞の訪問営業だったりします

この仕事を長年やってますと色々な方と出会います。

ご存知の通り新聞は若い人は読まず大半は高齢者

なので営業も高齢者の方とお話することが多いです。


そんな中、軽度の認知症の方とのお話を今回しようと思います。


何度もかかってくる電話

いつものように継続で読んでいる方の契約周りをしてました。

どこにでもいるおばあちゃん
世間話を交えつつサービス品はこれ契約期間は何月まで本当にいつもの契約でした

しかし契約して1か月がたったころ


外回りの営業をしていたらお店から電話が

「「1か月前に契約した○○さん「契約した覚えが無いのに新聞が入ってるのしかも契約書の控えがある!!どうなってるの!!」って言ってて電話で説明しても納得できないみたいなのでお宅に訪問してもらえませんか?」」

ということで僕が再び訪問して対応しました。

おばあちゃんは僕にも契約した覚えが無いと言っていて、とりあえずおばあちゃんの持っている契約書の控えを確認

契約書の名前・住所・電話番号をひとつひとつおばあちゃんと確認して「これはおばあちゃんの筆跡ですよね?あとこのハンコもおばあちゃんの家の物じゃないですか?」と確認

おばあちゃんは確かにこれは自分の家の住所で自分の筆跡 最近忘れっぽいからごめんなさいね
と納得してもらえたみたいでその日は事なきをえました。



しかし




次の日またお店から電話が
「昨日の○○さんまた契約した覚えがないって対応してもらえませんか?」

これはおかしい昨日の今日
たしかに昨日訪問した時に最近忘れっぽいって言っていたけどいくら何でも早すぎる

この時、認知症だなってわかりました。

おばあちゃんのお宅に訪問
完全に認知能力がなければ契約は無効にするんですが
今回のおばあちゃんの場合は新聞は読みたい
でも契約した覚えが無いのは納得できないとのこと

昨日みたいに一つ一つ契約書を確認すると「そうね覚えてないけど契約したのね私」と納得するというなんとも難しい案件

このまま帰ってもまた明日電話してきちゃうな~

そこで僕のケータイ番号を教えることに
おばあちゃんは契約書の控えを見てお店に電話していたので

「新聞で何かわからないことがあったらこの番号にかけること」

とその契約書の控えにおばあちゃん自身に書いてもらいました。僕が書くと変な契約書があるって結局お店に電話しちゃう気がしたので

その日はそれで帰りました。


案の定かかって来た電話

「今日新聞が入ってて・・・新聞でわからないことがあったらこの番号に電話するって書いてあったから電話したんだけど・・・」

はい!お待ちしてましたおばあちゃん!!

ここで僕が心掛けたのはこの2つ

・覚えていないことを共感する
・覚えていないことを肯定する



おばあちゃん昨日ね僕が訪問したの覚えてる?

「覚えてない」

そうだよね覚えてないよね
これで3回目なんだ~

「あら何度もごめんなさい」

うん覚えてないのは良いんです!!人はね忘れちゃう生き物だからね
僕もね1週間前食べた物とか覚えてないですよ
忘れちゃうことは仕方がない

今日も契約した覚えが無いのに新聞入ってるし契約書の控えがあってビックリしたんだよね~




と、明るく おばあちゃんが「覚えてない」っと言うことに対して僕も忘れちゃいますからと、とにかく共感してあげました

「覚えてない」っと言うことに対して前向きにとらえて欲しかったから

たくさん共感と覚えてなくても大丈夫という話を繰り返し繰り返し話していたら不安そうだったおばちゃんの声が明るくなるのがわかりました

そして今回も電話越しに契約書を一つ一つ確認

おばあちゃんの筆跡だよね?おばあちゃんは覚えてないけど契約したんだよ
大丈夫!!いつもの新聞だよおばあちゃん
覚えてなくても控え通りの期間しか新聞は入らないから安心してね

おばあちゃんは納得してその後2日間は電話がきませんでした。


信用することの大切さ

2日後また電話来て前回と同じ感じでおばあちゃんと電話
次はまた2日後、次は3日後っと少しずつ電話するまでの期間が長くなってきました。

しかもおばあちゃん「たぶんあなたに何回か電話してる気がするの・・・」
と何となく電話して確認していることも覚えてる?ような発言が

そういうやり取りをして1週間電話がかかって来なくなりました。

やっとおばあちゃん安心したのかな~って思った矢先

電話が・・・


うーん
このままでいいのかな?って思い始めました。

今回は電話じゃなくてお宅へ訪問。

おばあちゃんにお話したのはこの4つ

・契約書を信用しても良い
・考えて欲しい
・大切なことはメモ
・僕の言っていることを信用して欲しい


いつものようにおばあちゃんは不安そうに契約書を見せて「契約した覚えがないの」って

おばあちゃん何で僕がおばあちゃんの契約書に新聞でわからないことがあったらこの番号に電話するって書いてもらったと思う?

「わからないわ」

それはねその契約書を信用して欲しいんだ
新聞で困ったことがあったらすぐに電話がかけられるこれって安心できるよね?

「そうね確かに安心ね」

あとよーく考えて

この筆跡はおばあちゃんの筆跡
あと契約期間も見て。ちゃんと契約期間中に新聞が入ってよね
契約期間外に入ってたらおかしいけどこれは契約期間中に入ってるから何の問題も無いんだよ

契約した覚えが無いかもしれないけど、それはちゃんとした契約書

おばあちゃんから2重にお金とったり他の物買わせたりする偽物の契約書でも何でもない
ただの新聞の契約書

いつも新聞入ってるよね?新聞しか入ってないよね
なら不安になる必要なんてないんじゃないかな?

あと大切なことはメモして
おばあちゃん覚えてないのが不安ならメモしよ
おばあちゃんが覚えてなくてもメモしたら残るから今回も契約書に僕の番号メモしたから電話かけられたんだよね

自分で書いたならその内容信用しましょう

「そうねそうよね」

そして今までの僕の話を聞いて矛盾している所とか怪しい所とか無いよね?
間違ったこと言ったりしてないよね?
それなら僕の事信用してくれないかな?

「そうねあなたの言うことなら間違いないわ信用する」





こんな感じの事を1時間くらいかそれ以上か熱くお話してして帰りました。
このことも忘れてまた電話きちゃうかな~なんて思いとは裏腹に

その後ぱたりと電話は来なくなりました。

そして集金の日
おばあちゃんに会ったらあら新聞のお金ねっとすんなり集金ができました。
久しぶりだったけど僕の事も覚えててくれてて

あぁ、おばあちゃんに響いたんだなって何とも言えない感情が沸き上がりました。


その後も電話はかかってこなくて外でたまたまあったら僕だと気づいて話しかけてくれたりと僕の事は忘れて無いようです。

真摯に向き合うこと

実はおばあちゃん家族と一緒に暮らしています。

なので今回の件、家族がおかしいことなんて無いんだと言うことを説明してたらおばあちゃんは何度も僕に電話することは無かったと思います。

しかし毎日同じこと聞いてくるし忘れちゃうから家族に相手にされてないのかなって



それって寂しいですよね



不安だから聞いているのに



家族も大変だと思いますがおばあちゃんが納得できるように導いてあげられたらと思います。

今回はメモすることが対策になりました
もしメモがダメだったら動画で残しておばあちゃんが見られるようにしようかと思ってました。

そんな感じで納得できるように導くことも大切です。

この時、感情的になって叱るように言ってはいけません

人間ですからムッとなって結局話を聞いてくれなくなります。

あくまでも冷静に一つ一つゆっくり確認してあげましょう。

あと自分で考えてもらうことも大切です。

覚えてないからパニックになって衝動的に僕に電話をかけてきてたおばあちゃん
でも契約書を一つ一つ確認すると覚えてないけど自分が契約した契約書だと理解することが出来ました。

これを何度も何度も繰り返してあげると記憶にとどめて置けるんだと思います。

そして信用してもらうこと
自分は覚えて無いけど、この人の言うことなら間違いないって信用してもらうことです。

認知症といっても千差万別。
おばちゃんのケースが奇跡的なケースなのかもしれませんが
認知症の方は孤独です。

今回のおばあちゃん以外にも認知症の方に会ったことありますが家族から相手にされていないと感じることがあります。
四六時中一緒にいる家族と僕とでは立場が違いすぎますがでも認知症の方が孤独を感じているのは知って欲しいなと思ってこの記事を書きました。


僕はお年寄りと話すのが本当に大好きなんですよね
耳の聞こえないおじいちゃんとの話とか会話がかみ合わないおばあちゃんとか
最近は自分の給料確保するのに厳しいからお客さんと世間話出来ないのが本当に残念。

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